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2007年09月22日
皮革の国際経済学
ノグラボストアの革カバーはどこから来たのか(2)
みなさん、こんにちは。ノグラボの山本です。
昨日の続きです。
革というのは、実は興味深い商品で、
原皮から製品まで、1国ですべてをつくっていることは少ないのです。
なぜなら、原皮とは「牛の皮」ですから、酪農国で主に生産されます。
他方、「なめし」は革工場という近代的な工場が必要です。
日本でも、近代的な革工場は、20世紀に入って日露戦争以降、
軍靴の生産により、発展してきたという歴史があります。
また、縫製には、縫製職人や職工さんが必要です。
工場をつくるには、近代化が必要ですし、
優秀な職人さんの場合は、地域的・歴史的な蓄積がモノをいいます。
したがって、これは国際分業が成り立つ世界なのです。
ちなみに、オーソドキシーが使っている栃木レザーでは、
主に北米中心の原皮を使っているそうです。
実際に、2006年の日本全体の原皮の輸入データを見てみましょう。

(社団法人日本皮革産業連合会ウェブより筆者作成)
日本全体からみても、アメリカ、オランダ、オーストラリア、カナダなど、
牧畜産業が盛んな国から原皮を輸入していることがわかります。
なかでも、米国からの輸入が7割近いのは驚きですね。
そう、アメリカは世界最大の原皮輸出国なのです。
他方、海外の革工場で生産された革の輸入は徐々に増えています。
2006年の皮革輸入国のランキングを見てみましょう。

(同上)
ブラジル、中国、オーストラリア、ニュージーランドで全体の7割を占めています。
中国の牧畜産業は、ここ10年間に大きく成長しています。
他方で、英国やイタリア、デンマークといった国名も見られます。
これらの国は、高品質な革を作っているのです。
イームズに使われている、イタリアン・オイルド・レザーは、
原皮はおそらく北米やEU諸国のものを使い、イタリアの革工場で生産されています。
その革が日本に来ていることを考えると、
牛の皮が革製品になるまで、まさに地球を一周していることがわかりますね。
さて、ここで少し暗い話になってしまいます。
我が国における過去8年間の原皮及び皮革の輸入量推移を見てみましょう。

(同上)
金額ベースで見ると、傾向はより顕著に見られます。

(同上)
1998年と比べると、2006年の輸入量はほぼ半減していることがわかります。
日本の革生産は、急激な勢いで低下しているのです。
もともと、日本でつくられていた革は、革靴や革かばんなどに使われていました。
しかし、ナイロン等の普及によって、革製品の需要が低下したため、
1980年代から次第に革製品の生産は低下しています。
1990年代に入り、GATTウルグアイラウンドの結果、
革の関税が低下したことによって、海外製皮革の価格が低下します。
そして、21世紀に入ると、途上国が生産する革が一気に増加するのです。
その結果、国内では廃業する革工場が相次ぎました。
こうしてみると、国内産の革が値上がりしているのは、
取り扱い量の減少に伴って、コストが高まってしまっているところと、
革工場自体が大きく減少したからという構造的要因は無視できません。
もともと、革工場とは、沢山の人員を必要とする労働集約型産業です。
また、クロムを使う工場は環境問題のため、先進国ではもはや操業できません。
したがって、90年代以降、発展途上国の皮革生産が上昇し、
その一方で、先進国での生産は低下し、21世紀に入り生産量は逆転したのです。

(FAO資料より)
もちろん、なめしの過程で必要な植物タンニンもすべて輸入品ですし、
工場の稼働にはエネルギーが必要です。
昨今の円安基調とエネルギーの高騰が革生産のコストをさらに押し上げているわけです。
こうしてみると、いまや日本で生産されている革は稀少な革といってよさそうですね。
さて、ここまでは、革の生産プロセスの話でしたが、
もう一つ、革のコストをあげている重要な問題があります。
ということで、続きます。
投稿者 Nogulabo : 2007年09月22日 16:43
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