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2007年03月04日
柑橘系ビター
革についての基礎知識(3)
「識る」
革を識る
六.なめし工程(タンニンなめしとクロムなめし)
先ほど「皮」を「革」にする工程を広い意味で「なめす」というといったが、狭い意味では、なめし溶液に漬けることによって「皮」に化学的な反応を起こさせることを「なめす」という。化学的変化を起こさせるというのは、わかりやすく言うと、堅牢な革の表面を作るということ。革の表面のことを「銀面」と呼ぶが、これは、真皮組織であるコラーゲンの表皮に近い部分が変化したものだ。つまり、狭義の「なめし」とは、脱毛し、表皮と皮下組織を除去し、真皮層に化学変化を起こさせることを言う。
なめしの方法には、タンニンなめしと化学薬品(クロム)によるなめしとがある。クロムなめしの革は、今では革製品の約97%を占めている。しかし、オーソドキシーはタンニンなめしで水染めの革にこだわっている。その理由は、タンニンなめしの革こそが「使えば使うほどよくなる革」だからである。
(1)クロムなめしには、以下のような特徴がある。
塩基性硫化クロム塩を使う。脱灰の後、細かいコラーゲン層を整えるのに約24時間しかかからない。柔軟性、耐熱性があり、傷つきにくく、工場での大量生産に向くのだ。また、染色性もよく、発色が鮮やか。ただし、ナチュラルさがなくて、表面がフラットである。使い込んでも変化がない。エルメスのように、もう一度タンニンでなめすことも多い。製造に時間がかからず、細かい傷も目立たず、安価であるため、全皮革製品のうち約97%を占めている。
(2)これに対して、タンニンなめしには、以下のような特徴がある。
ミモザ、チェスナットの根とか樹皮から搾り出された植物性タンニンを使う。タンニンは廃液処理すると、肥料に使われるようなものができて環境にやさしい。エイジングが楽しめるのは、タンニンなめしの革である。使えば使うほどなじんで、つやが出たり色が変わったりする。味わい深くなって愛着がわいてくる。一般の人がイメージする「革」というのは、実はタンニンなめしの「革」だろうと思われる。使い込むほどいいつやが出て肌になじんでいく。「エイジング」というのは、まさに、タンニンなめしの「革」についてのことである。堅牢で可塑性があり、素肌に近い。色は、シブのせいで、アースカラー。革好きの人には人気の加工方法。しかし、染色の前までに4から6週間と、加工に時間がかかることや、工程が多すぎて工場のラインに乗らないことなどから全革製品の約3%のみとなっている。加工に手間がかかることから、クロムなめしに比べて大変高価で貴重なものとなっている。また、傷つきやすく、血筋やすきむらができるのがナチラルなタンニンなめしの革の特徴である。これを嫌う人はクロムなめしの革を選ぶしかない。従来のタンニンなめしの革というのは、馬具に代表されるように、ともするとゴツイ、ワイルドであるというイメージを持ちがちだが、オーソドキシーは、最良の加工方法と思われるタンニンなめしの革でどこまでエレガントな製品が作れるかということに、革の改良も含めて挑戦を続けている。最近は、化学薬品によるなめしの技術も高くなってきており、見ただけではクロムなめしかタンニンなめしかわかりにくくなってきているが、燃やすとタンニンがどれくらい含まれているかわかる。燃えにくいのがタンニンである。髪の毛を燃やしたようなにおいがする。クロムを使う職人がタンニンを使うことも、その反対もない。それぞれに専門の職人がいるのだ。最近は、めっきりタンニンなめしの職人が少なくなってきている。
今ではタンニンなめしをする工場がほとんどなくなってしまった。これはなぜだろうか。
イタリアやドイツでは、歴史のあるタンナー(革をつくる工場)が相次いで廃業に追い込まれている。これは、古い工場は、環境問題から、廃水処理のための設備改修にすごく金がかかるためである。栃木レザーは、比較的新しい工場なので、一層厳しくなってきている環境問題(廃水処理)にも対応しやすく、今でも生き残っている世界的に見ても珍しいタンニンなめし専門の工場。大変多くのタンニンなめしの浴槽をもっており、タンニンの濃度の薄い槽から濃い槽へ革を順々に入れて、肌を引き締めていく。多くの種類のタンニン浴槽で段階的になめしていけるという意味では、世界で3本指に入る工場である。オーソドキシーはここに細部にわたるオーダーを出して、フィードバックを繰り返すことにより顧客のニーズに応じたよりよい革を作ってもらっている。
(3)これらの他にも、タンニンなめしとクロムなめしを併用する混合なめしがある。
では、次回をお楽しみに。
投稿者 柑橘系ビター : 2007年03月04日 00:00
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